概要:憲法改正国民投票のテレビCM量は、規制すべきだ。
カタログハウスが、「憲法改正に関する国民投票のテレビCMの量を規制すべきという趣旨の『9条球場』」という意見広告を出したことが話題になっている。規制をしないと決めたのは、日本民間放送連盟(=民放連)がその決定について疑問を呈したものだ。憲法改正を進める自民党や支持団体の大企業など、資金力が潤沢な方が大量にテレビCMを打つことができるため不公平だという主張である。
◆国民投票法とは?
第百五条 何人も、国民投票の期日前十四日に当たる日か ら国民投票の期日までの間においては、次条の規定によ る場合を除くほか、一般放送事業者等の放送設備を使用 して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせる ことができない。
第百条 この節及び次節の規定の適用に当たっては、表現 の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国 憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよ うに留意しなければならない。
◆民放連の基本姿勢(憲法改正国民投票運動の放送対応に関する基本姿勢 平成30年12月20日 日本民間放送連盟)
憲法改正が発議された場合には、憲法改正という国の骨格を定める重要な問 題について、視聴者に対して番組とCMを通じて、正確かつ多角的な情報を提 供することが、放送事業者の当然の責務であることを、「基本姿勢」としてここ にあらためて確認する。
→憲法改正は「国の骨格を定める重要な問題」だから、「正確かつ多角的な情報を提供する」ことが、放送事業者としてのの責務。
投票期日前14日以降、国民投票運動CMは放送されないこととなるなかで、国民投票運動CMに該当しない、このようなCMが放送されるこ とになれば、視聴者に混乱を生じさせる可能性が高い。
放送事業者からすれば、国民投票法が国民投票運動を原則自由なものとして いるなかで、広告主の表現の機会を制約することとなる量の自主規制を行う理由は見出せない。
→混乱を生じさせる可能性が高いからこそ規制をするのかと思いきや、表現の自由や政治活動の自由を理由に自主規制を行わないとの主張。
最終的には民放各社が自律的に判断すべきことではあるが、国民投票運動C M以外の「憲法改正に関する意見を表明するCM」などについても、国民投票 運動CMと同様、投票期日前14日から投票日までの間は取り扱わないこととす るとの対応は、国民投票法の目的を実現するためにも採りうる選択肢である。
→最終的には民放各社に判断を委ねるということ。
◆CMは2種類ある
1)国民投票運動CM:機関の制限あり→CMの量の制限はしない
「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし 又はしないよう勧誘する行為=国民投票運動」に関するCM
2)その他CM:制限なし→CMの量の制限はしない
投票を直接勧誘ないものの「憲法改正に賛成です」「反対です」という広告など、 国民投票運動を惹起させるCMや憲法改正に関する意見を表明するCM
◆CMの量を規制しない理由
・政党などの表現の自由の制約は避ける必要がある
・個別CMの内容を分類し量的公平を図るのは実務上困難である
・インターネット広告市場が拡大するなか,TV放送のCMのみを規制するというのは論点の1つ
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