【第1話】汐留の高級タワーマンションから始まる

2011年2月(大学1年生・20歳)

「東京タワーの見えるタワーマンションで、学生起業家に会えるよ!」
「まじで!?おれもそこに行ったら社長になれるかな?」

親の仕送りで週に6回鍋パーティをするダラケ大学生

大学時代はバレー部と軽音楽部だった

僕の名前は山本周平。20歳の大学1年生だ。愛知県豊橋市のド田舎出身で、1年間浪人して横浜市立大学に入学した。とにかく楽しいことが大好きで、ムードメーカー的存在だと自分では思っている。

浪人時代は、毎日10時間勉強していたので今の大学生活は本当に楽しい。授業も後ろの方に座って友達と喋りながら受けることができるし、出席カードだけ出しておけば単位はとれる。

高校で友達から仲間はずれにされていた僕にとって、毎日のように新しい友だちができる大学は本当に楽しい。遊んでるだけなのに、これでいいの?って。笑

横浜から実家の愛知県に帰るたびに、「お父さん!お母さん!ありがとう!大学めちゃめちゃ楽しいよ!」と感謝をしていた。

授業後には、特にアルバイトもしていないので、いつも友達と鍋パーティをしている。週に6回のペースでやっているだろう。今日はキムチ鍋。今日は豆乳鍋……みたいに。

毎日のように鍋パーティをしていた。仕送りで。

家賃は親に払ってもらい、さらに仕送りと奨学金で僕は生活している。うん、分かっているんだ。アルバイトもしないで、親のスネかじって何をやっているんだって。

でも、子どもの仕事は親に甘えることなんじゃないか?しっかりとスネはかじれるだけカジっておこうと自分を正当化している。

しかし、週に6回もやっていると流石に飽きてくるのが飽き性の自分。楽しいけれど、メンバーはいつも同じ。会話の内容も「あいつとあいつが付き合ってる」とか「あいつムカつくよな」とか似たようなものばかりだ。どうも刺激が足りない。

そんな日々が続いていくと、「俺って何のために大学に来たんだっけ?」と何ともいえない焦燥感にかられるようになった。

意識高い系大学生に響く怪しいメッセージ

そんな矢先に、mixi(当時流行っていたSNS)で名前も知らない人からメッセージが送られてきた。

「東京タワーの見えるタワーマンションで、学生起業家に会えるよ!」

と。

大学生活の刺激に飽きてきた僕は、この頃からmixiを通じて大学外の人に会うことを始めていた。一番最初に行ったのは大好きなチャットモンチーのオフ会。そこで、大学外の人と会うことが楽しい!と感じて以来、積極的に「意識高い系の人」や「学生起業家」に会おうとしていた。そんなタイミングでのメッセージだ。

僕は、高校のときから「将来は社長になりたい!」と思っていた。その理由は、自分の思い通りにならなかった経験が関係している。

高校時代の野球部で、「もっと練習をこうしたほうがいいと思います!」と監督やキャプテンに打診したものの、勉強ができないのが理由で意見が通らなかったのだ。それが悔しくて、将来は自分の理想の組織で、理想のルールで、理想の事業をやったるぞ!と誓った。

ただ、そのときには在学中にいきなり起業なんては考えていなかった。まずは、体育会系の部活に入ってそこそこの企業に就職し、そこから数年経ってから起業しようというのが計画である。

しかし、考えが最近になって変わったのだ。鍋パーティをやっていくなかで、「何のためにおれは大学に来たんだ?」とよく考えるようになった。

いっちょ前に人生について考える山本周平

僕の両親は学校の教員である。もっと言うと親戚の80%ぐらいがみんな学校の教員なのだ。そのため、学校の先生になるのかもしくは「良い大学に行って良い企業に入る」ということが当たり前とされていた。

別に強制されていたわけではない。比較的自由に育ててもらった。しかし、自分自身を振り返ってみると「親の敷いたレールの上を歩いてきたな」と感じたのだ。

だから、

「果たしてこの先の人生も同じように流れに身を任せるのか?」
「今鍋パーティをしているだけで、マンネリを感じているのだから社会人になって同じ毎日繰り返すなんて絶対につまらない!」

そうやって考えが固まって、僕は大学在学中に起業をしたいと思うようになった。そんな大学1年生の僕に大きな影響を与えたのが、「怪しいタワーマンションでのパーティ」だった。

タワーマンションで出会ったグレーのスーツの男

人生で初めて汐留駅に降りる。

「タワーマンションでパーティがあるよ!」と言われても僕にはタワーマンションというものが何かわからなかった。でも、教えてもらった住所についた瞬間にびっくり仰天!

写真はイメージ

「デカーーーーーー!セレブーーーーーー!」

超高級マンションなんて、テレビでしか見たことがなかったから本当に興奮した。これから待っている、未知なる人との出会いにも期待が膨らむ。

目標とする階は47階だったのだが、そんな高いマンションにこれまで行ったことがない。高層階へ向かうエレベーターに中で僕は優越感に浸っていた。

(こんな場所に来れている俺はついてるな〜。なんだか人生が変わりそうな気がするな〜。大学の他の友達が経験できないことを経験しているな〜)と。

写真はイメージ

そして部屋をあけると正面の大きな窓から東京タワーが大きく見えた。思わず、漏れる「おぉぉぉぉ」という声。中にはすでに15人ぐらいの人がいて、立食形式でパーティが始まっていた。

意識の高い大学生である僕は、チェックのガラシャツにクロのデニムという服で参加をした。(これが一番オシャレな服)他には、ドレスに身をまとった女性やカッコいいスーツを着こなすお兄さんが居て少し場違い感もある。

けれども、コミュニケーション能力には自信があったのと「これは千載一遇のチャンスだ!」と気合が入っていた僕は積極的に色々な人に声をかけていった。

「僕、社長になりたいんですよ!どうしたら良いですか?」
「夢は25歳のときに貯金5億円持っていることです!」

会う人会う人にそうやって声をかけていけば、道は開けていくだろうと。その場にいた色々な人達から「すごいね〜!勢いがあるね〜!」と褒められたので、僕は気分がよかった。

そして、パーティも終わり頃に差し掛かったときに僕の運命を決める一人の男が近づいてきた。男はグレーのスーツを身にまとい、カッコいいビジネスバッグをもっている。

とてもかっこよく見えたグレーのスーツ

随分年上だろうか?と思っていたのだが、話を聞いてみると自分よりも年齢が1歳しか変わらない大学生だった。東洋大学の大学生。しかし、あまりにもかっこよくスーツを着こなしているため

「ウォォぉ!!!かっこいい!これが学生起業家か!!!」

と僕は非常に興奮した。まさに、自分はこんな人に会いたかったんだと。

「周平くん?起業したいんだよね。じゃあ、今度起業するためにはどんなことをしたら良いのか教えてあげるよ!」

「良いんですか!ぜひお願いします!」

この男が放った一言が、僕を「起業・ビジネス」という胡散臭い世界に巻き込んでいくとはまだ分からなかった。


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