【第5話】親玉から営業をされる

2週間で2回目のタワーマンション

品川のカフェで山川さんから、裁定取引でお金を稼ぐ説明を一通り聞いた僕らはタクシーで田町に向かっていた。

タクシーなんて家族と一緒でなければ乗ったことなかったので、学生起業家って本当にすごい。

品川と田町は1駅しか違わないので、タクシー代も安いんですけどね。笑 明らかなパフォーマンスですが、そんなことには気付きません。

そして到着したのは、田町のタワーマンション前。

「うぉぉぉおぉぉぉ」

例によって、タワーマンションの堂々たる姿と威厳に僕らは圧倒された。前回の汐留のタワーマンションもすごかったけど、このタワーマンションも高級感が半端ない。

タワーマンションの姿は、「貧乏人は入ってくるなよ」と言わんばかりだった。厳重に固められた2重オートロックの入り口。

エントランスになぜか人がいる。エントランスというより、もはやロビー。そこを見るとコンシェルジュと書いてあった。ん?ここはホテルなんだろうか?

山川さんが答える。

「ここは色々なお金持ちの人が住んでるからセキュリティがしっかりしてるんだ」

この1ヶ月で、東京のタワーマンションを2つも訪れると思っていなかったし、お金持ちの仲間入りをこれからするのか?と思うとドキドキした。それと同時に、なんともいえない居心地の悪さもある。

僕とヒロシ、山川さんは高層階へ向かうエレベーターへと足を運んだ。

「いや〜こんなところに住めるなんて羨ましいな〜!山川さん、今からどんな人と会うんでしたっけ?」

「僕がいろんなことを教えてもらっている社長さんだよ!僕がさっきしたアービトラージの話もさらに詳しく教えてくれるし、どうやったら大学生で知識がなくてもできるのか?が聞けると思う!

若いときに色々な経験をされている人だから、たくさん聞いてみると良いよ!」

「そうなんですね!本物の社長さんに会えるなんて、ドキドキするなー。どんな話が聞けるんだろう!」

山川さんの話ですら僕は感激して、影響を受けまくっていた。しかし、その山川さんが尊敬してやまない社長さんに今から会えるのだと思うと、なんだか芸能人に会う感じがする。

今から、しっかりと話しができるように1人ずつ社長に紹介するね。まずは やまもとくんから行こうか

2人一緒に社長に紹介されるかと思っていた僕とヒロシは、少し驚いた。社長で忙しいはずなのにわざわざ僕たち1人1人に時間をとってくれるなんて、なんて優しいんだと。

なんで2人一緒じゃなかったのかは、後でわかります。

IT系?の社長

ドアの前にたち、いよいよかとツバをゴクリと飲む。ガチャリとドアをあけ、広い玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替える。そのまま奥へ進むとデスクに社長らしき人が座っていた。

「失礼します!社長、先程電話でお伝えしたお客様お連れしました。」

僕たちに対しては非常にフランクだった山川さんが、急にかしこまって挨拶をしたために僕は急に緊張した。

「どうぞ、座ってください。」

窓際に用意された応接スペースのソファに僕と山川さんは座った。机の上には、見たことのない英語のサイトが映っている大きなパソコンの画面が置いてある。

「あの!今日はお時間とっていただきありがとうございます!横浜市立大学1年生のやまもとと申します!」

「初めまして。株式会社◯◯◯◯の木下です。」

社長は大きな身体に大きな態度だろうという固定概念があったからなのか、木下さんは想像していた姿とは違った。

スラッとしており、細身にスーツが良く似合っている。身長もそこまで高くないが、落ち着いており一言一言に引き込まれた。

初めまして!木下さんはどんな会社の社長なんですか?

私の会社はIT系ですね。

僕は聞きたいことがたくさんあったために、怒涛のように色々と質問をした。木下さんは19歳のときから会社をやっているということ。20歳前半に1000万円を超える借金をしたこと。そこから這い上がって今があること。

木下さんの住んでいる世界は、僕のそれとは格が違うということをヒシヒシと感じた。そして山川さんが切り込んでいよいよ本題に入る。

誰でもできる。アホでもできる。

「社長、今日は裁定取引(アービトラージ)のことをやまとくんに教えていただこうと思ってお時間いただきました。宜しくおねがいします。」

「そうだったね。じゃあ、やまもとくん。パソコンの画面を見てもらえますか?」

「はい!」

そう言って、木下さんは慣れた手付きでPCを操作していく。

「山川から説明があったかもしれないけれど、これが海外のブックメーカー(賭け屋)のサイトです。様々な種類があるんですよね。」

PCの画面には、山川さんがボールペンと手帳で説明をしてくれた海外の賭けサイトが表示されていた。

裁定取引(アービトラージ)の解説はこちらの動画を参考に。

「各ブックメーカーのサイトによってオッズ(賭け率)が違います。どちらに賭けても資金が増える組み合わせを見つけることができれば、誰でもお金を低リスクで増やすことができます。」

「はい!山川さんから教えていただきました!」

「ですが、この組み合わせを見つけるのがとても大変なんですよね。1つ1つのサイトをチェックしなければならないし、計算もしなくてはなりません。だから、作っちゃったんです。システムを。」

「システム?どんなシステムですか?」

「たくさんあるブックメーカーのサイトの中から、低リスクミドルリターンの組合わせを全部自動で見つけてくれるシステムです。」

「おお!それってすごくないですか?」

「そうですね。やり方は至って簡単です。僕たちは、そのシステムが指示したとおりの金額を賭けていくだけなんですよ。

例えば、15000円の軍資金を使ってお金を増やそうとしします。

ドイツとフランスのサッカーの試合で、良い組み合わせであるブックメーカーを、そのシステムが見つけます。

そしてその後に指示が出される。Aというサイトでは、ドイツに4000円賭けてください。Bというサイトでは、フランスに11000円賭けてくださいと。

その指示通りにお金を賭けると、どちらが勝ったとしてもお金が大なり小なり増えていく という仕組みなんです。」

「おぉぉぉぉぉ!すごい!それは画期的ですね!」

その説明を聞いて僕は驚いた。なんてすごい仕組みなんだろうと。どちらに賭けても利益の出る賭け方と、組み合わせを教えてくれるなんて馬鹿でもできるやん!と。

複利というマジック

「堅実にやっていくので、いきなり大きな金額を稼げるわけではないですがリスクが低いです。最初に取り組むなら、できるだけリスクが低いほうがいいですもんね。

ただ、複利を使っていくと少ない軍資金からでもコツコツとやっていけば、ドンドンと稼げるようになります。」

「複利ってなんですか?」

「複利とは、利子にもまた利子がついていくことです。

「例えば、やまもとくんが軍資金を100万円持っているとしましょう。その100万円を1年間で5%増やします(年利5%)となると、いくらになりますか?」

「105万円ですね!」

「はい。そして、その5万円を引き出して利益を確定させる。その後に1年間で5%増やすとまた1年後には105万円になりますよね。これは、単利の考え方です。

しかし、利子にも利子がつく複利で回すとなるとどうなるでしょうか?

105万円に増えたあとに、5万円を引き出さずにそのまま軍資金にまわす。そうすると、1年後には110万2500円になります。

さっきよりも2500円多いですね。それをさらに1年間おいておくと115万7625円に。単利で稼ぐよりも7625円多い。これが複利です。軍資金が少なくとも、複利で回すことで段々と大きく稼げるようになるということですね。」

「おぉ〜!なるほど!単利より複利の方がいい!」

「このグラフをみてみてください。このアービトラージでは、年利2%ではなくて月利◯%なんです。それを複利で回すと……?」

そういって、木下さんは僕にエクセルで作られたグラフを見せてくれた。複利でグングンと増えていくお金の金額は、到底アルバイトで稼げる金額ではない。

僕の頭の中には、お金持ちになった自分のイメージが湧いた。そして、そこから自分が社長になっているイメージがフツフツと出てくる。

「これ、やってみたいです!どうやったら出来るんですか?」

僕は、木下さんに食いつくように言ってみた。

「やまもとくんだったら、これで稼いだお金を使って立派な起業家になれそうですね!

でもこのシステムを使うためにはお金が必要になってきます。それでもやってみたいですか?」

木下さんから、はじめてお金の話が出てきた。今までの話では色々と教えてくれるというスタンスだったが、はじめて僕はこのときに営業をされていると分かった。

しかし、営業されているかどうかは別に関係がない。自分の未来が変わるかどうかを考えていた。お金がかかったとしても、自分はチャレンジしてみたい。

この後、これまでの自分ではしたことのない大きな決断を迫られるのだった。

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