【第7話】借金をすることができて喜ぶ大学生の僕

決断したあとは不安でいっぱい

「ヒロシはどうなったんだろう?」

僕は山川さんと一緒に山手線に乗って移動していたのだが、ふと気になった。

「ヒロシくんは今、木下社長から話を聞いてるんじゃないかな?」

山川さんは僕と一緒にきてくれているけれど、もしヒロシもチャレンジするとなったらどうなるんだろうか?

でも、そんなことよりも自分のことで頭がいっぱいだった。山川さんと高田馬場駅に向かう道中、僕は自分の決断が正しかったことを自分に言い聞かせるために山川さんに色々きいた。

「やっぱり借金ぐらいでビビってちゃ起業なんてできないですよね?」

「なかなか最初だと怖いよね。でも、起業して成功している人ってドンドンとお金を借りてる人だし、それだけお金を貸して貰える人だってことで、信用も高まったりするんだよ。」

「そうなんですね!お金を借りることで信用が高まるとは!そんなこと考えたこともなかったです!」

「あまり日本ではお金の勉強ってしないもんね。」

僕が何か不安な気持ちを伝えれば、山川さんは僕が納得する話をしてくれる。そんな安心感を僕は山川さんに抱いていた。

高田馬場には学生ローンがたくさん

学生ローンの文字が見える

田町駅から高田馬場駅へ到着した。高田馬場といえば、早稲田大学があるところだ。大学受験の現役生のときに一度やってきたことがある。(記念受験だけど)

駅の周りには、学生らしき人がたくさんいる。

「みんな大学生だな〜。僕は、ここにいる大学生よりもすごいんだぞ」と頭の中で勝手にマウンティングをしている自分がいた。

「やまもとくん、まだお金を借りたことってないよね?じゃあちょっとカフェに入って簡単に説明をするね。」

山川さんは、そう言って高田馬場駅のミヤマカフェに入っていった。店内は大人の雰囲気が漂っている。

大学生の自分だったら、絶対に入らないであろう雰囲気。これが、起業家の使うカフェか……。今度東京にきたら使ってみよう。

席に着席して、僕は山川さんからお金を借りるときの注意事項をきいた。

「投資詐欺に注意」と掲示

山川さんから教えて貰ったとおりに、学生ローンの前にやってきた。いよいよか…と思うと心臓の音がドンドンと強くなっていくのがわかる。

「いらっしゃいませー。こちらの席へどうぞ。」

受付のスタッフが案内をしてくれた。学生ローンというものが何か分からなかったので、どんな人が働いているのか不安だったが、普通のお姉さんが働いていた。

案内された席に座って周りを少し見渡してみた。

自分と年齢は同じぐらいだろうか?女の子が学生ローンの申込みに着ていた。そもそも、学生ローンってどういう人が使うんだろうか?

僕は紹介をされて着たけれど、普通に大学生活を送っていたら学生ローンを使う機会なんてどこにあるんだろう。

そんな疑問があったが、僕はある掲示をみて少し固まった。

「投資詐欺に注意」

ちょっとドキッとした。けれども、このことは事前に山川さんから聞いていたのでそこまでは動揺しない。

「やまもとくん、学生ローンに入ったらきっと投資詐欺に注意って張り紙が貼ってあると思うけれど気にしないでね。

実際に投資案件を引っ張ってきて、『この金額を預けてくれたら増やしてあげるよ』という詐欺案件が結構あるんだよ。

そういう被害が増えてるらしくて、張り紙があってあるんだ。」

僕は山川さんからそうきいていたので、自分がやろうとしていることは違うと思った。第一、ここで引き返したら何も変わらない。

それは僕が何度も感じたことだった。この先に何があるかは分からない。どんな未来が待っているのか分からない。

素晴らしい未来が手に入る確証もない。でも、僕は前に進んでみたかった。前に進まずに、何もしなければ退屈な大学生活に逆戻りだ。

僕は、どんなことを言われても退くつもりはなかった。

最初は融資を断られる

一番最初に行った「学生ローンカレッジ」では、融資を断られた。

僕は山川さんに言われたとおりに、「留学資金」という話をしたのだが話は通らなかったのだ。そんなこともあるんだな。

「お金を貸す側も、本当にこの人にお金を貸してもよいのか?をきちんと判断しているんだよ。じゃあ、次のところ行ってみようか!」

そう言われて、次の学生ローン「マルイ」に行ってみた。先程と同じように、書類に必要な個人情報を書き込む。

毎回、実家の住所と父親の連絡先を書くたびに何かとても悪いことをしているような気分になった。

「でも、僕が支払いを滞らせなければ大丈夫なんだ。頑張るぞ!」

親に連絡が行くのは、僕が支払いを滞納してしばらく1ヶ月が経過するとらしい。

山本家は非常に真面目な家庭だから、僕が借金をしてまでに何か新しいことをしようとしているなんて知れたら大事だ。

きっと家族全員で反対しに来るだろう。そんなことで自分の挑戦を邪魔されたくなかったので、絶対にばれないようにしようと僕は思った。

融資が通ったらなぜか嬉しさが出る

マルイの審査が出た。

「35万円まで融資することができます」

おお!ついに通った!申請していた60万円全額ではなかったけれど、一度断られてできないかも?と思っていたのでなぜか嬉しかった。

そして審査結果をカフェで待機していた山川さんへと連絡。

「おめでとう!やったね!これで一歩近づいたね!じゃああと1件行ってみようか。」

山川さんに褒めてもらったこともあって、僕はまた嬉しくなった。お金を借りて嬉しくなるとは中々不思議なことだ。これも成長なんだろうか?

次の学生ローン「ベル」へと行き、僕は同じように25万円の融資をGET。

合わせて600,000円。今回のチャレンジでは、525,000円が必要だったので必要額に達した。

「山川さん!やりました!合わせて60万円達成です!」

お金を借りることができた。たったそれだけのことなのに、僕はテンションが上っていた。もう成功したかのように。

借金をしても何も思わなくなったのは、この頃に感覚が鈍ったからかも知れない。

そうして、僕はこのお金を持って次の場所を目指した。



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