【第6話】学生ローンで人生はじめての借金を決断

目次

チャレンジするには50万円が必要

木下さんからのプレゼンを受けて、僕はチャレンジしてみたい気持ちになった。心臓がとてもドキドキする。

これにチャレンジしたら、僕はお金持ちになれるぞ。そして未来の起業につながっていくんだ。

そんなイメージを頭の中でしていた。しかし、お金がかかるらしい。いったいいくらするのだろうか。

「お金がかかるんですよね?いくら掛かるんですか?」

「この投資のシステムを使える権利と、やり方を教えるスクールが50万円です。」

「ご、ご、50万円!そんなにするんですか!」

「はい。50万円でも、しっかり元もとれますしそれ以上に稼がれている方も多いですからね。」

正直思ってもみない金額だった。10万円ぐらいかな?と考えていたのに、想像の5倍の50万円。大学生の僕には大金だ。

考えてみれば横浜市立大学の1年分の学費と同じなのだ。果たしてそれだけの価値があるのだろうか?

「でも、大学生の僕は50万円なんて金額もってないです。」

「チャレンジをされる大学生さんはほとんどの人が持っていないですね。だから、融資を受けてやっていますよ。」

「ゆうし……?」

「はい。お金を借りて、ということですね。大学生でも融資してくれる金融機関がありますので。」

「お金を借りる……?50万円もですか?そんなこと考えたことなかったです。」

両親は公務員で借金大反対!

公務員(学校の先生)を両親に持つ僕からすれば、信じられない選択肢が目の前に現れた。

借金は絶対にしてはいけないものだ。そうやって僕は両親に育てられた。借金をすると、ヤクザのような借金取りに追われて大変な目に合うというイメージを持っている。

そんな保守的に育てられたお金を借りる……?どうも考えられない。

お金を借りる話を聞いた瞬間に僕は様々な事を考えた。お金を借りた後に両親にバレたら、なんて言おうか?

いや、特に母親はめちゃめちゃ心配をするから言わないでおこう。借金をしても、元がとれるのかな?どうなんだろうか?

やらなければ昨日までの自分に逆戻り

「別にやらなくても大丈夫です。ですが、起業しようと思ったら決断のスピードがとても大事なんですよね。今、決断していただかなければこの話はなかったということで。」

木下さんがそう僕に伝えてきた。決して、「やれ!やらないと帰さないぞ!」と言われているわけではない。

だが、ここでチャレンジしなければ自分は何も変わらない気がしていた。

きっとやりません、と断ったとしても何か嫌なことをされる感じもない。しかし、やりませんと伝えても昨日までの自分に逆戻りするだけなんだ。

僕は自分に問いかけた。

「50万円ぐらいの借金が返せない男が、果たして起業できるだろうか?自分は将来ビッグな男になるんだから、ここで引き返して良いのか?」

と。

その自分自身の問いかけに対して僕は勇気づけられた。

「木下さん、やります。お金を借りるのは怖いですが、ここで引き返しても昨日までの自分と変わらないのでやります!」

「よく決断できましたね。しかし、起業をしていくとそのような決断が今後も何度も訪れることになります。

今日の第一歩を忘れずに是非、活躍する起業家になってください。」

「はい!ありがとうございます!」

僕はこのとき、20年間の歴史の中で一番大きな決断を自分自身で下した気がした。

元々、今までの人生は全て両親が考える通りに生きてきたと思っていたので、自分が決断したことに関しては満足感があった。

借金をしたときのリスクもすべて自分が背負う覚悟がある。責任は自分が負う。仮に全くこれで稼ぐことができなかったとしても、社会人になったときにボーナスで払えばいいか。

そうやって僕は考えた。

さぁ、今まで歩んだことのない未知なる世界に行くのか。ワクワクもあるし、期待もあるし、不安もたくさんある。

そして僕は山川さんと一緒に、お金を借りれる場所である高田馬場駅に向かうことになった。

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